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新NISA制度 (2023年3月版)

株式市場は、米ナスダック市場の反発と中国景気の回復期待で堅調な動きが続いている。しかし、国内企業決算には下方修正も散見されており予想PERは上昇傾向にある。警戒しつつ、投資にあたるのが賢明と思われる。

 

昨年のコラムで取り上げたNISA(少額投資非課税制度)の改革が、昨年末の与党税制改正大綱で決定された。昨年、岸田首相の資産所得倍増プランの発言以後注目され、大納会でも「来年を資産所得倍増プラン元年とし、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進め、NISA の口座数と累計の買付額を 5 年間で倍増させることを目指す。」と述べ、新NISAに対する市場の期待も高まっている。

 

NISAは、個人の資産運用推進を目的にした税制優遇制度で、購入した株式・投資信託などの売却益や配当金が範囲内で非課税となる。現在は「一般」と「つみたて」があり、いずれも期限付きで購入額に上限がある。現行のNISA は、年内をもって買付を終了する予定で、前回と同様であれば、新NISAの口座開設手続きは 10 月頃から始まる見込みである。

 

新NISAのポイントについて解説したい。はじめに、年間投資上限額の引き上げである。新NISAは「つみたて投資枠」で年120万円、「成長投資枠」で年240万円の上限額となり、且つ併用が可能なため、合計で年360万円まで投資上限額が引き上がる。例えば、今までのつみたてNISAでは毎月33,333円(40万円÷12ヶ月)しか、積立できなかったが、新NISAでは毎月10万円(120万円÷12ヶ月)が可能となる。

 

つぎに、制度の恒久化である。現行の一般NISAは年内、つみたては2042年までと期間が限定されていたが、新NISAは恒久化制度とし、いつからでも始めることができ、非課税保有期間が無期限となる。従来の一般の場合、非課税保有期間の5年を経過すると売却するか、継続する場合はロールオーバーの手続が毎年必要であった。新NISAは非課税保有期間が無期限となり、長期の投資が可能で、ロールオーバーの面倒な手続も不要となる。

 

最後に、生涯非課税限度額の設定である。新NISAでは、1人あたり1,800万円の非課税限度額が設定される。この非課税限度額は生涯利用可能であり、「簿価(=取得価額)」で総枠を管理する。簿価管理のメリットは、売却時に簿価が減少するためその枠を再利用できることである。例えば、運用商品の見直しや一時的な支出のため換金した場合でも、改めて簿価の枠を使える制度となっている。また1,800万円のうち、「成長投資枠」の非課税限度額は1,200万円で、この部分は買付方法がつみたてに限定されない。そのため、まとまった資金の投資に活用することができ、個別の株式も対象となるため幅広い投資に対応できる(※一部除外銘柄あり)。利用方法の一例として、1,800万円すべてを「つみたて投資枠」に使うことも可能であり、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」を半分ずつ利用することもできる。ただし、成長投資枠が1,200万円を超えることはできないのが注意点である。

 

金融庁のNISA口座利用状況調査(22/9末時点)によれば、NISA(一般・つみたて)の口座数は1703万1049口座(一般1068万7394・つみたて684万3858)、買付額は28兆9426億7111万円(一般26兆4950億・つみたて2兆4475億)である。倍増のための案として、現行の開設者には手続き不要での移行も検討されており、新規の口座開設数が重要になるとみられる。

 

口座開設を増やすには、既存の利用者だけでなく、これまで資産運用に対して関心が低かった人が関心を持ち、始めてもらうことが求められる。すなわち、制度拡充に合わせた制度自体の周知や、未開設者の金融リテラシーの向上などにより資産運用の意識を高めることができるかが、カギとなるだろう。

 

最後に、NISAは税制優遇とともに損益通算と繰越控除ができない点は忘れてはならない。この点を回避するためにも、投資には長期・積立・分散が理想的といわれる。若年層は、投資可能期間が長いため有効な投資手法として活用し、つみたて投資枠で少額からつみたてるのが良いと思われる。また中高年層は、相対的には資金が多いが、期間は短くなる。そのため、各々が投資期間をどのくらいに設定するか、事前に計画を立てておくことが重要である。新NISAで上限額が引き上げられたといって、まとめて投資を行えば、リスクも高くなりやすい点には注意すべきである。

 

来年からの新NISAが広く活用され、長期の資産形成にチャレンジする人が増えることを期待したい。

(戸谷 慈伸)

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