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アベノミクス継続の必要性 (2017年9月版)

2012年11月14日、野田佳彦氏(当時内閣総理大臣)が、国会で行われた党首討論で安倍晋三氏(同自由民主党総裁)に対し、当国会中の議員定数削減法案可決に協力する事を確約するなら同月16日に衆議院解散を行うと明言、野田氏は同日の閣議で解散を宣言し、衆議院を解散している。その後、同年12月に安倍政権が誕生、「アベノミクス」(安倍政権が推進する経済政策)という言葉が生まれ、現在に至っている。アベノミクスの骨子は、12年の政権発足時に掲げた「3本の矢」、①大胆な金融緩和、②機動的な財政支出、③民間投資を喚起する成長戦略になる。

 

アベノミクスはどのような影響を国民にもたらしたのであろうか。まずは、経済の先行指標といえる日経平均株価(終値ベース)をみたい。前述の野田氏の発言のあった前日の12年11月13日は8,661円05銭になっている。同時点で衆議院を解散した場合、与党が大敗し、政権交代と金融政策の大転換が確実視された事で、株価は大幅上昇に転じている。その後の高値は15年6月の20,868円03銭、現在も1万9千円台を維持している。

 

株式時価総額(東証1・2部、マザーズ合計、月末ベース)は12年10月の261.8兆円が、15年5月には610.3兆円、今年7月で609.7兆円になり、12年10月との比較では税収の6倍以上の347兆円を超す値上がりになっている。株価上昇は巨額の資産効果を生みだし、GDP(国内総生産)を構成する個人消費の底上げに寄与している。

 

実体経済を表す名目GDP(暦年ベース)も大幅に伸びており、12年・494兆9,572億円から、16年・537兆574億円になっている。税収弾性値とはGDPの伸び率によって、税収がどの程度増えるのかを示す数値だ。財務省試算では「1.1」になっている。巨額な財政赤字を抱える日本経済にとって、GDPの着実な伸びは税収増に繋がり、それは財政再建に貢献し、日本経済が健全な道を歩むための不可欠な要素といえる。

 

国民の生活を支える一般会計予算の貴重な財源となる租税及び印紙収入決算額も12年度・43兆9,314億円、15年度・56兆2,854億円、16年度・55兆4,686億円と順調に拡大している。同期間に消費税率を3%引き上げており、税収増効果は約6.9兆円になっているが、安倍政権発足以降の税収増の傾向は継続していると思われる。

 

アベノミクスの3本の矢の一つである成長戦略の中で最も効果が大きかったのは、ビザ発給要件の緩和等による訪日外国人客数の増加であろう。12年・835万人から、16年・2,403万人と激増しており、東京五輪・パラリンピックの開催される20年までに4,000万人の目標に向けて順調に拡大している。有効求人倍率(全国のハローワークに申し込まれている求職者数に対する求人数の割合)も大幅に伸長、12年の0.8倍が16年に1.36倍、今年7月には1.52倍(季節調整済み)と74年2月の1.53倍以来の高水準になる。有効求人倍率上昇はアベノミクスの最大の成果といえる。それは若者の就職状況を好転させ、国の将来を担う『若者に希望を与える』からだ。

 

前述の訪日外国人客数の増加は極めて重要である。日本経済の弱点は財政赤字であり、根幹には人口減少問題がある。日本の人口予想(国立社会保障・人口問題研究所、17年推計、出生中位・死亡中位)は16年・1億2,683万人、30年・1億1,912万人、15~64歳の人口予測は17年7月・7,606万人、30年・6,875万人になっている。日本のようなGDPの250%を超える巨額の財政赤字を抱えた国には、人口減少は重い難題になる。

 

 

財政赤字の解決は、名目GDPの着実な伸びと税収の拡大が不可欠であり、その根幹である人口問題解決が急務だ。16年度の税収は55兆4,686億円になるが、毎年3%の税収増(名目GDP成長率2.5%、税収弾性値1.2、税収外収入5兆円想定)を実現すれば38年度の予想税収は「111兆2,837億円」になる。また、16年度予算額100兆2,220億円に「社会保障費毎年5千億円増×22年間」と想定した場合、38年度の予算額は「111兆2,220億円」になる。

 

人口減少を食い止めて一定の労働生産性を維持できれば単年度の財政を黒字化する事は可能だ。海外旅行客等を増加させ、日本のファンをつくって定住等に導く事ができればGDP拡大の有力な手段になるであろう。政治は経済だけではなく、他の分野の事では評価が分かれるのかもしれないが、少なくとも経済政策であるアベノミクスに関しては、100点満点で90点以上の成果を挙げたと評価している。安倍政権が実施した経済・金融政策の大枠の堅持は日本経済の再生に不可欠と推察したい。

(北川 彰男)

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