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日本の株式市場の動向 (2017年11月版)

1989年12月29日、日経平均株価(日本の株式市場を代表する主要平均株価指数の一つ。以下は終値ベース)は「38,915円87銭」の史上最高値をつけている。その後、日経平均は長期にわたって停滞を余儀なくされており、大底をつけたのは09年3月10日の「7,054円98銭」、最高値の18%の水準まで下落している。現状は安値からの比較では大幅に反発しており、10月24日時点(本稿執筆時)で「21,805円17銭」まで上昇し、高値の56%の水準まで戻している状況だ。40年以上、株式市場を観察しているが、株価は常にドラマチックというのが、正直な感想である。

 

76年4月、弊社に筆者が入社した前月末の日経平均は4,596円48銭であった。「PER」は株価を1株純利益で割った基本的な投資指標であり、一般的には低い方が割安とされている。75年末、日米の主要平均株価のPER(採用銘柄平均、実績ベース)は、東証株価指数(TOPIX)の「27倍」に対して、米国のS&P500は「11.8倍」であった。「日本のPERは米国と比較して高過ぎるので、いずれPERが20倍程度に低下する可能性が高く、日経平均は下落するであろう」という株式評論家のコメントを新入社員当時、読んだ記憶がある。

 

入社以来、営業職を担当していた筆者は、この評論家のコメントが後々まで気になり、株式に対して余り強気になれないもう一人の自分が常にいたような気がする。そのような若い営業員の疑問を嘲笑するように株価はPERを軽視して、上昇を続ける事になる。前述の史上最高値をつけた89年末で、PERはTOPIX(採用銘柄平均)で「70.6倍」、同時点でのS&P500(同)は「14.7倍」になり、5倍近くも割高に買われる状況であった。85~89年末にかけて、日本の株価は地価の上昇に連動した部分が多々あり、PERはほとんど無視された状態になっていたが、この反動は極めて大きかったといえる。

 

日経平均は09年3月に最高値の18%の水準まで下落し、10月24日でも高値の56%の水準という状況だ。これに対して、S&P500(終値ベース)は89年末で「353.40」、10月24日では「2,569.13」でほぼ史上最高値圏にあり、89年末比では約7.3倍に上昇している。日本の株式市場の長期にわたる停滞は、前述の日米PERの極端な格差を平準化するための圧力が発生した事が最大の要因とみたい。PERは株価を1株純利益で割ったものだが、PERを下げるためには「利益が拡大する」、「株価が下落する」、この二つしかない。土地の暴落による不良債権の発生等で、企業利益が伸び悩んだ面もあるが、日本市場は株価が長期にわたって下落する事で米国とのPERの平準化が進んだと思われる。

 

ちなみに10月20日時点での日米のPER(予想ベース)は、採用銘柄平均でTOPIXが16.5倍、S&P500は19.6倍になり、日本が米国を下回る驚くべき数値になっている。隔世の感を禁じ得ない状況であり、感慨深いものがある。日本の株式市場も米国のようにPERが大幅に上昇するのではなく、企業の1株当たり純利益(EPS)が伸びた分だけ上昇する市場を構築する『下地』は出来たと思われる。あとはこの状態をいかに長期間、継続できるのかがポントであろう。

 

PERは株価をEPSで割ったものになるが、株価の長期予測をする場合、EPSの伸び率とPERの水準を固定化すれば可能になる。TOPIXベースのEPS(TOPIX÷平均PER)は71年末の13.4が、07年末で75.7になっており、年平均のEPSの伸び率は「4.93%」になっている。また、68年~08年のS&P500採用銘柄の平均PER(実績・年末ベース)は「17.6倍」になっている。このような過去の実績から、EPSの伸び率を『5%』、PERの水準を『17倍』と仮定した場合、日経平均の以下の長期予測が成立すると思われる。

 

10月24日の日経平均は21,805円で、同採用銘柄の平均予想PERは15.2倍になっており、日経平均の予想EPSは1,433円になる。毎年5%のEPSの伸び率を18年度以降、10年間継続した場合、同EPSは2,334円になり、PER17倍を掛けると10年後の日経平均の目標値は「39,672円」になる。同様に5%増益を22年間継続すれば同EPSは4,191円、PER17倍を掛けると22年後の日経平均の目標値は「71,245円」になる。09年3月の日経平均の安値7,054円から31年間で10倍超になる計算だ。S&P500は82年8月の102.42から今年10月20日の2,575.21まで35年間で25倍になっており、無理な目標値ではないと推察したい。日本経済のリスク要因は財政赤字と少子高齢化になるが、この解決策に関しては当コーナーの今年9月号・10月号(弊社HPの証券展望コラムに掲載)をご参照いただければ幸いである。

(北川 彰男)

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