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5Gの時代へ (2019年4月版)

約200年ぶりの天皇陛下の生前退位とともに平成の時代から新時代を迎える。1869年日本初の東京・横浜間の電信線の架設工事から150年目の節目にあたる今年は通信においても5G元年となる。5Gは「5番目のGeneration(ジェネレーション)」、5世代目の移動体通信システムの意味で「超高速」、「超低遅延」、「多数同時接続」が主要性能とされ今後注目の通信技術であり、1月24日、総務省が基地局開設の申請受付を開始、いよいよ動き出した。

 

80年代から90年代にかけて日・米・欧の地域毎に技術開発され、それぞれ商用化したアナログ無線技術時代が1G。90年代に技術のデジタル化が進み、デジタル無線技術を用いたネットワークが標準化、iモードをNTTドコモが発売し、サービス提供が始まったのが2G。デジタル化を背景に、データ通信の提供が容易になり、メールをはじめ携帯データ通信の利用が普及、各種情報提供やインターネットメールを携帯電話で行うことで利用が一気に拡大したのが3Gである。普及期に入り利用者は高速化を求めるようになり、同時に技術も進化、コア技術CDMA(符号分割多元接続)が商用化され、3GをITU(国際電気通信連合)が世界標準と定めた結果、一つの端末を世界中に持ち歩ける時代の到来となった。並行通信速度の高速化が進み、技術的な特徴の違いから3.9GやLTEなどを総称して4Gと位置付けられ、スマートフォンが誕生、4Gは「スマートフォンのためのモバイルネットワーク技術」ともいわれるようになった。

 

5Gは、モバイル通信で使われてこなかった「ミリ波帯」という高い周波帯を利用し、「マッシブ・マイモ」と呼ばれる新たなアンテナ技術の進化によってデータの送受信の幅が格段に飛躍することとなり、ロボット、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、自動運転を推進させるICT(情報通信技術)として注目されている。「超高速」により現在の100倍、2時間の映画を3秒でダウンロード、「超低遅延(タイムラグを減らすこと)」でロボット等の精緻な操作をリアルタイムに実現、「多数同時接続」でスマホ・パソコンだけでなく、自宅内や外の家電・センサーがネット接続することが可能になるといわれ、様々なICT分野の新サービスやビジネスチャンス拡大が期待されている。その特長を生かした「高速」で大容量の8K映像や監視カメラ映像の配信、「低遅延」で自動運転、遠隔操作(治療、工場、工事、ドローンなど)、「多数同時接続」はIoTによる事業の効率化など、可能性の裾野は広い。

 

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」では、日本の人口は2040年に1.11億人、世界のGDPシェアは3.8%に低下、生産年齢人口は7,728万人から5,978万人、高齢者人口は3,921万人と推定されている(平成29年時点)。今後、65歳以上の独居世帯は急増し、15歳未満の人口は減少の波が押し寄せるだけに、高齢化と労働力減少への対策が日本の課題となる。無人化、自動化、ロボットとの協働、高齢者の見守り等、社会構造の変化への対応に5Gは欠かせない存在と考えられ、産業の生産性向上をはじめ医療・健康管理、セキュリティ(犯罪・事故の防止)、モビリティ(交通手段による移動)、地場産業など、様々な分野への応用が期待されよう。総務省も5Gの利活用を公募しながら、実証実験に取り組み、実用化を推進してゆく姿勢である。

 

あらゆる産業に5Gは今後影響を及ぼすものと考えられるが、株式市場では、自動運転をはじめとした自動車や半導体産業への影響がすでに注目されている。昨今、自動車産業にはCASE(C=コネクテッド、接続、A=オートノマス、自動運転、S=シェア、共有、E=エレクトリック、電動化)の波が打ち寄せており、昨年、自動車業界のトップにして「自動車業界は100年に一度の大改革の時代」と言わしめるほど、あらゆる角度からモビリティの変革も始まっている。

 

今年開催の「ラグビーワールドカップ日本大会」で5Gプレサービスが実施される模様だが、通信関連企業にとどまらない幅広い産業への波及と、未来の社会構造への活用に注目、期待したい。

 

(戸谷 慈伸)

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