ご案内
当社は昭和に入ってから永らく週報を刊行しており、戦中・戦後の混乱期に中断していましたが、この伝統を受け継いで、昭和33年1月企業分析等を掲載する『証券展望』を創刊しました。現在もマクロの市場動向と個別銘柄の情報提供を目的としてキムラ経済研究所より毎月編集・発行されています。キムラレポートは昭和59年より地元企業の訪問など中心にまとめられた調査レポートで、投資家の皆様方への情報提供を目的として逐次発行しています。
尚、証券展望・キムラレポートは当社営業網の本支店にお電話、又はご来店により請求できますのでご利用ください。
イビデン (2025年1月版)
本社所在地 | 〒503-8604 岐阜県大垣市神田町2-1 |
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設立 | 1912年11月25日 |
ホームページ | https://www.ibiden.co.jp |
2024年3月期
資本金(連結) | 64,152百万円 |
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自己資本比率 | 43.80% |
従業員数(連結) | 11,577人 |
連結事業構成 | 【連結事業】電子52(14)、セラミック26(14)、他22(7)【海外】75(2024.3) |
株式上場 | 東証プライム,名証プレミア |
株価 | 一株益(連) | PER(連) | 一株純資産 | PBR(連) | 一株配当 | 配当利回 | 年初来高値 | 年初来安値 |
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12/30終値 | 25/3期(予) | 予想 | (連)24/3期 | 実績 | 25/3期(予) | 予想 | ||
4,775 | 171.8 | 27.8 | 3,543 | 1.35 | 40.0 | 0.84% | 8,359 | 4,001 |
※1株益、1株純資産、1株配当金は円単位。各表示未満は4捨5入。(連)連結決算、(予)予想の略。
※1株純利益(赤字&未発表・非表示)、1株配当金(通期配当金額、未発表・非表示)は、2024年12月30日時点の会社予想。
展望
- 世界を支える技術開発型企業
- 大垣市に本社を置く同社は、電子とセラミックが中心の技術開発型企業。1912年水力発電を祖業にカーボン事業を開始、戦後にメラミン化粧板、オイルショックの機会に電子分野に進出し、90年代にはPCや携帯電話の普及を追い風に電子部品事業を拡大した。2000年代にはSiC(シリコンカーバイド)製DPFを実用化、多くの自動車メーカーに採用された。現在は、半導体パッケージ基板工場の増設やEVバッテリー用安全部材の量産、出荷を中心に次の成長を目指す。
24年4-9月期の事業別売上高構成比は、電子54.1%、セラミック23.7%、その他22.2%。電子事業は、PCや汎用サーバー向けICパッケージ基板の需要減少のなか、生成AI用サーバー向けが堅調に推移。セラミック事業は、DPFや触媒担体保持・シール材(AFP)が中国経済の減速により売上減少したものの、価格転嫁や円安を背景に増益を確保。その他建材部門も、昨年度の買収効果で増収増益となり、ヘルスケア事業も好調に推移した。
電子事業の中核であるICパッケージ基板は、ICチップと一体で機能する重要部品で、PCやデータセンター向けMPU、AIや車載向けGPU(画像処理)などの半導体に使用されており、独自のアライメント技術と最先端のレーザー加工技術や、めっき技術によりトップクラスの超微細配線を実現する。
セラミック事業のDPFは、ディーゼルエンジン搭載自動車が排出する黒煙を捕集する部品で、高強度・高耐熱性の特長を生かした再結晶SiCで捕集性能を高め、低燃費に貢献する。またAFPは、触媒担体や排気ガス浄化フィルターを保持する部品で、高温断熱ウールは、セラミック繊維の軽量かつ柔軟性に富む断熱、耐熱材で、エネルギー関連施設の熱処理をはじめ、燃焼機器の高温部断熱材として使用される。その他では、あらゆる分野で使用される内装用化粧板の製造販売の建材と、のり面と造園の技術を融合した特色ある建設事業を展開している。
同社は中期の経営計画の重点項目として、電子事業の旗艦となる25年半ば稼働予定の大野工場と、操業開始を待つ河間工場による業績への寄与や、セラミック事業の中国、インド市場への進出、SiCパワー半導体向け特殊炭素製品の成長市場への対応など、をポイントとして挙げる。また、新しい柱の育成として、EVバッテリー用安全部材を重点に置く。
先を見据えた成長投資で、さらなる飛躍を目指す同社に注目したい。
(戸谷慈伸)