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日経平均株価16連騰後の行方 (2017年12月版)

それは1986年5月、日経平均株価が16,000円前後の時であった。大手投資信託会社が主催する懇話会に出席させていただいた際、座長の運用担当者の方が、B株の話をされていた。その時、出席者の方がわが社もその株に目を付けて買おうとしていたが、上昇するのが早くて買えなかったと発言されている。それに対して、「そうでしょう」と一言、座長の方が言われた「表情や声のトーン」を今でも鮮明に覚えている。多くの人が買う前に上値を素早く買うのがプロの技量という事であろう。やがて来る大相場を予見するような自信に満ちた得意気な表情であった。

 

その後、89年12月末の3万8,915円まで日経平均は急上昇しており、本格的なバブル相場が始まる前夜、バブルの甘美な香りが漂ってくる時期であったといえる。今年10月2日から24日まで日経平均は16営業日連続して上昇しており、過去最長の連騰を記録している。ほかの人に買わせないように上値を買い進んでいく買い方、相場の上昇力の風圧に直面して、前述の「そうでしょう」の運用担当者の言葉を思い出す事になった。今回の日経平均の16連騰で筆者のようにバブル相場を回想された方も数多いのではないか。

 

当然、投資家の皆様の大きな関心事は86年から89年のような日経平均の急騰が再現するかどうかだと思われる。結論からいえば「株価は上昇するが、来年中に日経平均が3万円、20年に4万円まで上昇」するような大相場は実現しないとみている。なぜ、そうなのかは順を追ってご説明したい。当コーナーで何度もご案内している事だが、89年末にかけての大相場は地価の急騰が主因であったといえる。

 

内閣府が発表している日本の土地の価額(国民経済計算ベース)は85年末・1,060兆円、90年末・2,452兆円で「2.3倍」になっている。これに対して日経平均は85年末の1万3,113円が89年末で3万8,915円と「約3倍」になっている。土地や株式の含み益を加えた「実質純資産価額の拡大」を株価が反映した事が大相場の主因であり、それが妥当な株価分析だと思われる。

 

15年末の日本の土地価額は1,145兆円で13年末の1,135兆円から多少上昇しているが、08年をピークに人口が減少している日本でバブル時のような地価の急騰を期待する事は全くの論外である。それよりも外国人の移住の増加や出生率の上昇を推進し、いかに人口減を食い止めて地価を横ばい程度に安定させるのか、それが日本経済の重要な課題になっており、地価問題は株式市場のリスク要因の一つにさえなっている状況だ。

 

89年末にかけての再現はないとみるもう一つの要因は、株式の保有主体が劇的に変化している事が挙げられる。東京証券取引所などによる株式分布状況調査によれば89年3月末の全体に占める金融機関と事業法人等の合計保有比率は73.1%、外国人法人等は4.3%になっているが、17年3月末の同比率はそれぞれ50.5%、30.1%になっており、一見すれば明白なように金融機関と事業法人等の株式の持ち合い構造が解消され、外国人の保有比率が大幅に拡大している。

 

バブル崩壊以前の株式市場は持ち合い株の厚みがあり、市場に出回る浮動株式が少なかったため、高PER(株価収益率)を容認する日本独自の投資理論も可能であったが、外国人の保有比率が30%を超す現状では、海外投資家が重視するROE(自己資本利益率)やPERを中心とした投資尺度を軽視した株価形成は無理といえる。バブル相場の再来を夢見る極端な楽観論は、いずれ厳しい暴落につながるため、決して同じ間違いを繰り返してはならないと思われる。

 

それでは株式市場の先行きに対して、弱気かといえばそうではない。11月号の当コーナー(弊社HPの証券展望コラムに掲載)において、10月24日の日経平均をベースにした独自の計算式で、10年後の日経平均の目標値は「39672円」、22年後の日経平均の目標値は「71,245円」としており、「09年3月の日経平均の安値7,054円から31年間で10倍超になる計算だ。S&P500は82年8月の102.42から今年10月20日の2,575.21まで35年間で25倍になっており、無理な目標値ではないと推察したい。」などと記述している。

 

日本の株式市場も米国市場のように企業の1株純利益の伸び率に応じて株価も上昇する投資理論が定着しつつある。株式は一部の富裕層のみが保有しているのではなく、公的年金や日本銀行が株式を大量保有しており、外国株を含めるとその金額は国民一人当たり100万円程になっている状況だ。株式市場は年金の円滑支給に不可欠な国民共有の貴重な財産として、国民的コンセンサスになっていく事を期待したい。

(北川 彰男)

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