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今年の株式市場の動向 (2017年1月版)

謹賀新年。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。トランプ氏の大統領選挙の勝利で株価は大きく上昇している。この理由は意外に単純なものであろう。米国の景気循環(戦後、11波動)の平均拡張期間は58.4カ月になっており、今回は09年6月を谷にして、昨年12月で景気拡大は90カ月目に入っている。失業率もすでに4.6%(16年11月)まで低下しており、リーマンショック前の水準の4.4%に迫りつつある状況だ。賃金上昇率も緩やかだが、それでも前年同月比で2.5%(同)の水準まできている。

 

このような景気が過熱しかけている状況で、トランプ氏は大幅な減税やインフラ投資の経済政策を打ち出しており、さらに不法移民の大量の国外退去を実現すれば労働需給は引き締まり、賃金が上昇して景気が過熱するスピードが速くなる。このサイクルを予見して株価は急上昇していると思われる。本来は景気のアクセルを踏むのではなく、環境規制等で抑制気味の経済運営をした方が景気拡大の長期化に寄与し、インフレにもならない事から、一般勤労者のためになると思うのだが、先の事を余り考えるのではなく、「今が良くなる事だけを考える」、それも民意なのであろう。

 

ただ、米国の景気拡大には大きな伸び余地があると推察している。米国の住宅着工件数(月次・年換算)は06年1月の227万戸でピークをつけており、ボトムは09年4月の48万戸になっているが、昨年11月でも109万戸の水準だ。同件数の過去の主なピークは72年1月・249万戸、78年4月・220万戸、84年2月・226万戸になっている。米国の人口は70年代前半から昨年まで、約1・5倍になっており、30年では現在の人口より、さらに11%も増加する予想だ。住宅着工件数は過去の数値と比較した場合、現状は極端に低水準であり、住宅市場は今後の米国経済を押し上げる大きな原動力になると思われる。

 

今後のリスク要因としては、米ドルや米国株式市場の水準が、理論値や過去の実績と比較した場合、高すぎる事だと思われる。購買力平価とは、同じ製品の価格は一つとみる「一物一価の法則」が、成り立つ際の2国間の為替相場の為替レートであり、円相場の水準を考察するうえでの有力な尺度といえる。国際通貨研究所が発表しているドル円相場の企業物価ベースの購買力平価は96円01銭(16年10月)になっている。

 

本稿執筆時(16年12月27日)の日銀発表のドル円中心相場は117円38銭になり、22%もドル高円安にかい離している。購買力平価の面からみればドルは高すぎる水準であろう。しかし、15年6~8月にかけて、今回のように米国の継続的な政策金利上昇の思惑が強くなった際も購買力平価と現実の相場は25%以上かい離しており、同年6月8日には125円66銭の高値をつけて約27%のかい離になっている。購買力平価から25%~27%かい離を高値のメドとみた場合、120~122円が今年のドル高のピークになると推察している。

 

日本の株式市場に多大な影響をもたらす米国の株価は割高な水準が続いている。米国の株式市場時価総額(ニューヨーク証券取引所とナスダック市場の合計、年末ベース)の名目GDP(暦年)に対する比率は1996~2015年の平均で126%になっている。同比率は15年5月末に150%まで上昇しているが、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)は同年5~8月にかけて約14%急落している。その後も上値の重い相場が続いていたが、実体経済の規模に対して株価が上昇しすぎないように自制する圧力が発生していたといえる。

 

トランプ氏の経済政策は不要なインフレ率の上昇を招き将来的には大きなマイナスをもたらすが、前述の通り短期的には景気を早く過熱させる事から、株価は上昇スピードを速めており、直近の時価総額の対GDP比率は147%程になっている。同比率の150%越えの際の推計値はNYダウ20,300ドル、S&P500・2,310になり、一時的な調整圧力には警戒する必要がある。

 

しかし、同比率は99年12月末には172%まで上昇しており、150%を突き抜けていく可能性もある。ただ、その場合は将来的に反動がより大きなものになるであろう。いずれにしても米国の株価は弾みがついており、今年の米国の株式市場は、トランプ氏の言動等で乱高下をする事はあっても基調は強いと思われる。日経平均株価も15年の高値を抜き21,000円台をつけると推察している。

 

(北川 彰男)

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