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新年度入りの改正点 (2026年4月版)

トランプ大統領の言動に、株式市場が翻弄されている。経済の下押し要因となる原油高の長期化を懸念して、日本株も年初の水準に押し戻された。衆院選圧勝の余韻も消えつつある今、高市政権の舵取りが注目される。

 

新年度に入り、少子高齢化や労働力不足といった社会課題解決に向けた多くの制度改正が実施される。ご承知の方も多いと思うが、法改正や制度変更の一部を、働き方や生活への影響を踏まえ、改めて確認しておきたい。

 

はじめに、社会保障分野では昨年6月成立した年金制度改正法が、段階的に施行される。今月から在職老齢年金制度が見直され、労働意欲低下や参加の妨げ理由と考えられている、65歳以上が働きながら受給できる支給停止基準額が、月62万円に引き上げられる。これは受給しながら働く場合に、賃金と老齢厚生年金の合計が一定基準額を越えると減額される制度で、今回の改正で推計20万人が全額受給可能となると推定されている。ほか、企業型確定拠出年金(DC)の加入者掛金が、事業主掛金を超えられない制限が撤廃され、手続きを簡素化して従業員が自由に拠出することが可能となる。また遺族年金制度も見直され、男女差の解消や子供が遺族基礎年金を受け取りやすくなる。

 

子供・子育て向けには、支援金制度が開始される。児童手当拡充や妊婦への支援に充当するかたちで、健康保険や国民健康保険など、公的医療保険を通じて負担する仕組みとなる。今年度の支援金保険料率は約0.23%とされている。10月には支給対象となる親の所得制限も撤廃され、第3子以降の手当てが月3万円に引き上げられるほか、対象年齢も18歳の年度末まで拡大する。あわせて私立高校の授業料も補助されることとなり、年収や居住地、進学先の制限も撤廃され、一定額の補助が支給されることとなる。

 

つぎに、給与に関連する社会保険や税制、家計に影響する公共料金分野も改正が行われる。御存知の方も多い所得税の課税最低限(年収の壁)が、これまでの103万円から178万円へと大幅に引き上げられる。この数字は、1995年当時の最低賃金と現在の最低賃金の比率(約1.73倍)を103万円に乗じて算出されており、所得税には今年から適用され、住民税には来年度分からとなる。この控除額の引き上げは、消費者物価指数の動向に合わせて2年ごとに見直される予定で、同様に配偶者や扶養控除の適用判定ラインも見直し、パートやアルバイトの収入が多少増えても、扶養から外れにくくなるよう調整される。年収150万円のパートやアルバイトの場合では、今まで所得税や住民税が発生していたが、社会保険料の負担は残るものの所得税は全額非課税となり、年間での手取り増が見込まれる。社会保険料は、年収106万円基準が10月に撤廃され、制約が緩和されて多くの労働者が社会保険加入対象者となる。健康保険の被扶養者認定についての見直しも行われ、時間外労働に対する割増賃金で給与収入基準額(130万円など)以上になった場合も、社会通念上妥当な範囲の場合に限り、被扶養者としての取扱いが変更されない。また、標準報酬月額の上限が引き上げられ、厚生年金保険料の計算基準が月75万円に引き上げられるため、高所得者の将来の年金が増加することとなる。

 

また、今月で政府による電気・ガス料金の激変緩和措置(補助金)は終了する予定で、原油高騰による再エネ賦課金の引き上げで、各料金の値上げが確実とみられ、ガソリン代をはじめに標準世帯の燃料費が支出増となる可能性が高い。水道料金改定の動きも全国で広がっており、老朽化施設の更新を理由に、多くの自治体で料金の引き上げが見込まれる。

 

最後に、生活分野も様々な改正が行われる。交通ルールは青切符制度が強化され、自転車の16歳以上の対象者に導入される。飲酒はもとより信号無視や一時不停止、逆走、携帯電話使用などの違反に対して、反則金による指導が行われる。また、自動車も、生活道路の法定速度が引き下げられ、幅5.5m以下の道路では法定速度が30km/hに引き下げられる。ほかにもマンション等の多数決要件緩和や、マイナ保険証の完全移行、固定電話基本料の改定など、多くの改正が実施される。

 

ここに挙げた分だけでも、ほとんどの人に関わる制度変更があると思われる。給与や社会保険、年金や子育て支援、交通ルールなど、事前に認識を深めて用意を周到にしておくことが肝要となるだろう。

 

 

(戸谷 慈伸)

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