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今後、注目される技術と関連企業 (2017年8月版)

 日本の株価はこう着状態が続いているが、経済は新しい成長トレンドが着実に定着しつつある状況と推察している。大きな流れの底流にあるのは第4次産業革命であろう。第20回産業構造審議会総会(今年5月、経済産業省本館)の資料(「新産業構造ビジョン」骨子・案)によれば産業革命の歴史は、第1次産業革命・動力を取得(蒸気機関)、第2次産業革命・動力の革新(電力、モーター)、第3次産業革命・自動化の進展(コンピュータ)になっている。そして、第4次産業革命では自律的な最適化が可能な社会になるとしており、新技術(人工知能、ロボット等)を活かした超スマート社会が構築されるとしている。また、『2020年代以降の将来像』として具体的な数値目標も掲げられている。

 

 主なものとして、「交通事故死亡者」4,117人(国内)、→限りなくゼロ(運転手起因の事故)。「労働生産性の伸び率」継続的に製造業2%、サービス業2%以上。「温室効果ガス排出の削減」30年度に13年度比でマイナス26%。「平均寿命と健康寿命の差」現在の10歳から大幅減。「要介護者数」816万人(35年時点推計)の大幅減。「安全・安心な街」災害による死傷者数半減(首都直下型地震による想定死傷者数2万3千人「25年時点推計」から半減)などだ。これらを実現するための政策(法制度、予算、税制等)は政府全体の成長戦略、経済産業省の新政策において具体化していくとしている。

 

 現在、ドイツでは「インダストリー4.0」、米国は民主導の「インダストリアル・インターネット」、中国では「中国製造2025」が提唱されており、各国とも第4次産業革命への取組みが、新たな成長の柱になっているといえる。今後、雇用のミスマッチ等の問題が発生し、一時的に停滞する事はあっても、前述のような将来像を目指す経済・社会の大きな流れが変化する事はないと思われる。

 

 それでは、この流れに沿った技術や注目している関連企業について簡略に述べたい。「IoT、AI(人工知能)、ロボット、5G、自動運転、環境、再生医療」は第4次産業革命の中核となる技術であろう。日立製作所は鉄道システム、新興国の交通渋滞解消、海水淡水化等の水処理、電力供給、発電技術、介護等分野でIoT基盤「ルマーダ」を活用し、生産性向上を目指すとしている。三菱電機はシーケンサーやNC装置等の制御機器、ネットワーク構成のソフト開発など製造の自動化で優位性を持ち、自動運転でも独自の技術開発に取り組んでいる。また、ロボットとビジョンセンサー等を組み合せた知能化・自律型セル生産ロボット(自ら判断、経験から学ぶ、作業の習熟)を展開している。

 

 AIとは、データから傾向や特徴を学び、自ら答えを出す等の機能を持ったコンピューターの事をいう。AIの応用分野は幅広く、IoT、ロボット、自動運転、画像認識、音声認識、質問応答、ビッグデータ解析等になる。AIでは米IBMのワトソンが著名だが、日本企業では富士通に期待したい。同社のAI技術を活用したZinrai(ジンライ)は不正な金融取引の検知、輸送の効率化、新薬の開発期間短縮、交通渋滞解消等の問題解決を提案している。また、工場を管理するIoTシステムを国内外で拡販していく方針だ。

 

 ロボット関連としては産業用ロボット世界シェア約6%の川崎重工業に注目している。同社は航空機や車両製造の分野で自社ロボットを活用して生産性向上に努めており、人と並んで作業可能な双腕型多関節ロボット「デュアロ」を展開、今後、食品分野等でのロボット拡販が予想される。5G(第5世代移動通信システム)は現行の4Gの100倍の速度、1,000倍の容量、4Gの10倍以上の多数端末同時接続が可能になり、自動運転車では車同士の通信のやり取りは0.001秒とされている。5G実現には基地局の増設に伴う光ファイバー網の拡充が必要であり、住友電気工業が注目される。

 

 レベル3(加速・操舵・制動をシステムが担当、緊急時にドライバー対応)、レベル4(特定環境下での操作をすべてシステムが行う)等の自動運転システム車の世界市場規模は25年に約1,500万台という予測もあり、先進運転支援システム関連製品で強みを持つデンソーに期待したい。また、環境基準の高まりで世界の電気自動車&プラグインハイブリッド車市場は16年の約70万台が25年に約900万台との予想もあり、車載用リチウムイオン電池世界シェア約40%のパナソニックが注目される。再生医療では米セルラー社(高品質iPS細胞を安定大量生産)や和光純薬(細胞が必要な栄養分・培地の技術)を買収している富士フイルムHDに注目している。

 

(北川 彰男)

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