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今年の日本の株式市場の動向 (2016年1月版)

 謹賀新年。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。2015年の日経平均株価は14年12月30日の17,450円77銭(終値)から、6月に20,868円03銭(同)の高値を付けたのちは下押し圧力が強くなり、9月に16,930円84銭(同)まで下落している。12月に2万円台まで戻しているが、その後は再度、調整に入っている状況だ。日本の株式市場は米国の影響を強く受ける傾向にある事から、今月号では米国経済の状況を中心に考察し、今年の日本の株式市場の動向を予想したい。

 

 米連邦準備理事会(FRB)が昨年12月16日に9年半ぶりの利上げを決定している。利上げに関しては1年以上も前から話題になっていたが、堅調な米国経済と中国など新興国経済の減速との双方を見据えたうえで、慎重に時期を探りながら、絶妙のタイミングで利上げに踏み切ったと評価したい。08年9月に発生したリーマンショックは当時、100年に1度の経済危機と言われていたが、米国のオバマ政権と同国の中央銀行にあたるFRBの果敢な「財政政策」と「金融政策」などもあり、世界経済は危機を脱する事ができたと推察している。

 

 米国の失業率は07年5月の4.4%から、09年10月に10.0%まで悪化しているが、昨年11月には5.0%と劇的に改善している。経済の回復を受けて同国の財政赤字は、09会計年度の1兆4157億ドル(対GDP比9.8%)から、15会計年度には4389億ドル(同2.5%)と3分の1以下になっており、財政赤字問題は解決に向けて大きく前進している。また、消費者物価指数(除く食品・エネルギー、前年同月比)は06年9月に2.9%、08年11月で2.0%だが、昨年11月でも2.0%の水準になっており、雇用の拡大と物価の低位安定が継続している状況だ。

 

 米国経済は前述のように順調に回復しているが、累積した金融緩和の影響で「バブルの芽」も育ちつつあったといえる。米国の新築住宅販売価格(中央値)は07年3月で26.3万ドルになっている。リーマンショックの影響もあり、10年10月に20.4万ドルまで下落していたが、昨年9月には31.0万ドルとリーマン前の高値を18%も上回る水準になっている。これに対して、新築住宅販売(月次の年換算ベース)はピークの05年7月の139万件から、昨年11月でも49万件の低水準にとどまっており、住宅市場は価格のみが上昇し、販売が停滞する歪んだ構造が定着している。

 

 直近のデータでは住宅価格はやや低下傾向にあり、市場はFRBの利上げを先読みして下押しの圧力が発生していたと思われる。米国の住宅市場は低金利を活用した投機マネーの流入や中国の富裕層などの買いもあり、実体経済以上に高くなり過ぎていたため、住宅販売が伸び悩む傾向にあったと推察している。しかし、中国では当局の資本流出への監視が強くなる見通しであり、米国の緩やかな利上げの影響で住宅価格の上昇には抑制の圧力が掛かり、住宅販売は回復すると思われる。

 

 米国の住宅着工件数(月次の年換算ベース)は06年1月の227万件でピークをつけており、ボトムは09年4月の48万件になっているが、昨年11月でも117万件にとどまっている。同件数の過去の主なピークは72年1月・249万件、78年4月・220万件、84年2月・226万件になっている。米国の人口は70年代前半から昨年まで、約1.5倍になっており、30年の予想では現在の人口より、さらに12%以上も増加する見通しだ。

 

 住宅着工件数は過去の数値と比較した場合、現状は余りにも低水準であり、今後、大きな伸び余地があるといえる。また、米国では情報通信技術を活用したサービス産業の高度化、生産性の向上が進行しており、コストの上昇圧力が緩和される事から、物価の低位安定は長期化する見通しだ。これにより、FRBの利上げのペースは過去と比較して、極めて緩やかなものになると思われる。今年の利上げは0.25%を3回実施し、年末のフェデラル・ファンドレートの誘導目標(米国の政策金利)は1.00~1.25%を予想している。

 

 利上げの影響が限定的である事から、米国経済は安定した個人消費と設備投資の伸びに加えて、住宅の回復も追い風となり、堅調な景気拡大が継続するであろう。日本経済も米国市場に支えられて堅調な展開が予想される。当面は原油価格の下落などで不安定な相場になるが、徐々に立ち直り、年末の日経平均株価は2万円~21000円と推察している。

 

(北川 彰男)

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