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日本の株式市場の動向 (2014年10月版)

日本金融学会中部部会で今年3月15日に研究報告を担当させていただいている。テーマは「日本の株式市場の動向」であった。当コーナーの3月号(日米のPERの平準化)、4月号(株式の長期投資の必須条件)、5月号(投資家に分かりやすい市場)、6月号(インフレへの資産防衛策)、7月号(自分のための年金づくり)、8月号(日経平均株価4万円への道)の各号は、研究報告用の内容(4月号以降はその後の状況も考慮)を解説する形式でまとめさせていただいたものだ。

同研究報告の後半からまとめの部分では日経平均株価が4万円台などに到達する時期の予想や投資する対象は何が合理的なのか、株式市場で「投資の果実という花を咲かせる」ために最も必要な条件は何であるのか、自身の経験も交えて報告しているが、冒頭の部分では日経平均株価の今年末にかけての予想について述べている。

昨年12月30日に日経平均株価が16291円まで一気に上昇した事で、今年末の同株価は1万8千円から2万円台など非常に強気な見通しが大勢を占めていたが、懐疑的にみていた。結論からいえば研究報告の資料作成時点(3月12日)における日経平均の今年高値の予想は「16657円~17414円」としている。現状までの値動きはほぼ想定通りの推移になっていると思われる。

株価予測の見方を簡略に示せば以下の通りだ。日経平均株価を予想PERで除した数値となる日経平均ベースのEPSは資料作成時で「1009円」になっており、同時点からの日経平均採用銘柄の純利益の伸び率を「10~15%」とすると、今期の同予想EPSは「1110円~1160円」になる。日経平均は昨年のみで約57%も上昇している事から、今年は調整の圧力が発生しやすいとみてPERは「15倍」と低めの設定にして、前述の予想値を算出している。

証券会社に入社して既に38年余が経過しているが、自身の経験則から「株価というものは短期的には極めて複雑で予測する事は不可能なものだが、多数の上場企業の値動きを示す主要平均株価指数の長期的な値動きは案外、単純な面もある」と推察している。当コーナーで何度もご案内している事だが、東証1部上場企業を対象とした平均PER(実績ベース)は1989年12月29日時点で「70.6倍」になっており、米国の主要500社を対象としたS&P500の採用銘柄の平均PER(同)は同時点で「14.7倍」であった。

日本の株式市場の長期間にわたる停滞は、日米のPERの異常なかい離を是正するための圧力が発生していた事が最大の要因であろう。現状の日米の予想PERは15~16倍でほぼ平準化しており、PERが低下する事で主要平均株価が下落する構造的な調整圧力は終了していると思われる。以上の事から日本の株式市場には基本的には強気でみている。ただ、日本経済の最大の弱点である「巨額な財政赤字」や「少子化」などの問題に対して、痛みを伴った地道な取り組みを継続する事が、日本の経済や株式市場の長期的な発展を実現するための必須条件になると推察している。

詳細は割愛するが、消費税率の8%から10%への引き上げは国際公約のようにもみられており、予定通り引き上げるべきであろう。短期的には国民負担が増す事になり、先送り等の声をよく耳にしているが、矛盾が蓄積して市場が反乱する際の恐さを何度も経験している市場関係者の一人として、『これをやらないと将来的にもっと痛みが酷くなる事態に追い込まれる』とお答えするようにしている。

今後のリスク要因としては今年8月末時点のNY証券取引所とナスダック市場の合計時価総額が26兆664億ドル、米国の今年4~6月期の名目GDPは17兆3113億ドルでGDPに対する時価総額の比率が151%になっており、91年から13年までの同比率の平均値(GDP・暦年、同時価総額・年末ベース)である110%を大幅に上回っている。米国経済は長期的には有望だが実体経済に対して株式市場が先行し過ぎており、今後の米国市場には調整の圧力が高くなるであろう。日本の株式市場の上値を抑制する材料として考慮する必要があると思われる。

(北川 彰男)

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