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株式の長期投資の必須条件 (2014年4月版)

株価は現状ではなく常に日本経済の未来を予見して動いていると思われる。変動商品である株式のリスクを大幅に軽減するためには長期投資が有力な手段になるが、そのためには日本経済を長期的な安定成長の軌道に乗せる事が不可欠な要素になる。日本経済の最大の弱点は『巨額の財政赤字』であろう。この問題を克服する事が、日本の株式を長期投資する際の最も重要な条件になると推察している。

日本の財政赤字の最大の問題点は長期間、抜本的な解決策を先送りしてきた結果、余りにも巨額な金額になってしまった事であろう。公債残高は1984年度末の122兆円から2012年度末には705兆円まで約5.8倍と大幅に拡大しているが、不思議な事に利払い費は84年度の8.7兆円から12年度には8兆円と減少している。これはデフレ経済で物価が長期間、前年比でマイナスになっていた事で、極端な低金利が長期化していた恩恵によるものだ。ちなみに84年度並みの金利水準になった場合、直近の公債残高で計算した年間の利払い費は53兆円を超す金額になり、利払い費だけで税収を超える状況に陥るのである。

長期金利の妥当な水準は、実質GDP(国内総生産)の年間成長率にコアCPI(消費者物価指数)の前年比上昇率を加算したものと想定した場合、政府等の目標の成長率2%物価上昇率2%の合計値4%が長期金利の妥当値といえる。日本の公債残高は13年度末で約751兆円、14年度末では780兆円の見込みであり、その後も毎年29兆円の増加が10年間継続したと仮定した場合、23年度末の公債残高は1041兆円の巨額な数値になる。金利を4%で計算すれば利払い費は41.6兆円、2%でも20.8兆円と12年度の8兆円から大幅に増加し、財政の強い圧迫要因になる。

財政赤字問題を解決しようとしても増税に対する国民の抵抗感が強いため、おおむね経済成長による税収増に期待する政策が優先されてきた。ただ、日本の場合、高すぎる物価や賃金がグローバルな平準化の圧力を受けて長期間、停滞せざるを得ない経済環境であった。そのため、物価の下落が長期にわたって継続し、名目GDPが低下する事で同GDPにほぼ連動する税収も減少するため、財政赤字も一向に改善しなかったと思われる。

しかし、当コーナーの昨年10月号「三つの平準化の終えん」で述べたように日米の物価や賃金の平準化が進んだ事で、2%の物価目標を掲げても無理のない経済環境が整備されたといえる。あとは日本銀行の決断のみであったと解釈している。正統な金融政策論からはかい離しているが、2%の物価目標を達成するまで金融緩和を実行し、名目GDPとそれにほぼ連動する税収を年率3%強伸ばす事と並行して、最大の懸念材料である国債の利払い費を抑制するために日銀が国債を買う事で、長期金利を消費者物価上昇率ほどの水準にコントロールする事が肝要であろう。

名目GDPを毎年3%伸ばせば税収の弾性値を1.1で仮定しても税収は毎年3.3%増加する事が可能になり、14年度の税収等見込みの約50兆円は2042年度には「124.1兆円」に拡大する。14年度の一般会計予算案は約95.9兆円、社会保障費が毎年1兆円増えるとして28年間では28兆円の増加になる。人口の増えない日本では他の予算を据置く事は可能であろう。同方式では42年度の一般会計予算は「123.9兆円」になり、日本の財政は黒字化する事になる。

もちろん、インフレターゲットと成長戦略の組み合わせが万能薬とは思っていない。年率2%のインフレでも20年後には49%、30年後には81%の上昇率になる。大企業と中小・零細企業等の従業員の賃金格差が大きく広がる事が懸念される。特に低所得者層はインフレに賃金上昇が追い付かず実質的な増税になる可能性が高いと思われる。低所得者層への給付金制度等の温かみを持った成長戦略が必要であろう。ただ、日本の財政赤字問題を解決する場合、他に有効な方法があるのであろうか。現在の経済政策・金融政策を貫徹する事が日本経済の長期的な発展と株式の長期投資の優位性を確立する必須条件になると推察している。

(北川 彰男)

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