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高値圏の株式市場 (2026年6月版)

株高が続いている。日経平均株価は、中東情勢緊迫化から調整したものの、4月以降持ち直して史上最高値更新が続いている。ホルムズ海峡閉鎖に伴う原油価格高騰で株価も一時は下落したが、その後回復に転じ4月半ばにイラン攻撃前の高値を更新、月末には初の終値6万円台、連休明けには過去最大の上昇幅を記録した。1年の折り返しにあたり、現状を確認しておきたい。

 

上昇要因の一つが、中東情勢を巡る過度な警戒感の後退である。世界的に慎重な見方が続いていたが、米国とイランの停戦合意により、戦闘終結に向けた期待が株価に反映したといえる。日本の経済や企業業績に対する懸念も和らぎ、2026年3月期上場企業の業績も5年連続最高益と今後の見通しに対する安心感が株高につながったとみられる。

 

AI需要を根拠とした半導体に対する成長期待も、大きな上昇要因とみられる。AI関連株は、昨年秋以降SaaSの死と評されたアンソロピックはじめAIエージェントの台頭により、従来型SaaSビジネスの需要減退観測と過熱感から調整していたが、半導体を中心にブーム再燃の様相となり、各企業の決算を通じた需要の強さと業績改善が再認識された。半導体企業は、先端向け投資を優先させた結果、汎用半導体投資が抑制されたことで需給ひっ迫となり、現在は広い領域で半導体価格が上昇、株価も押し上げられた。代表的なメモリー大手キオクシアは、この1年で株価約27倍、時価総額30兆円まで上昇している。今回の日経平均株価上昇の主役は、寄与度が大きい値嵩半導体関連の株価によって押し上げられたといっても過言ではない。採用銘柄のうち、AI ・半導体関連と自動車など他の採用銘柄の株価を比較すると、乖離が一段と拡大していることが確認できる。

 

5月の売買代金は、1日平均あたり10兆円超の大商いが続いている。売買動向を投資部門別にみると、上昇のけん引役となったのが、海外投資家である。4 月の買越額は、東証と名証合計で5 兆6,964億円と過去最高を大幅に上回った。前述の理由に加え、円安や関税無効による輸出関連企業の業績押上げ期待や、日本株の割安感などがその理由と推測される。ほかコーポレートガバナンス・コードによる上場企業の資本効率改善や、ガバナンスの進展、前向きな株主還元の動きを評価するとともに、改定が予定される現預金・実物資産等を含む経営資源の有効配分に対する注目も高いとみられる。海外投資家は、以前から米国株の時価総額が膨らんだ場合、偏重のリスク回避を理由に、投資資金を米国株以外に分散する行動をとる傾向があり、リスク分散の投資資金が受け皿となりやすい日本や韓国の株価上昇に影響しているものと推察される。事実、4月初めの米SOX指数の急騰を境に、日韓両国の株価は上昇の勢いを強めている。

 

直近の株価上昇を見る限り、短期的には利益確定売りも出やすい状況にあり、スピード調整が入っても不思議ではない。日経平均および東証プライム採用銘柄の予想PER も決算発表で下がったとはいえ、約18倍(5/22)近辺となり、過去10 年間の平均と比較しても割安と言えない水準にある。少なくとも現時点では主役であるAI・半導体関連株には業績の裏付けがあり、一時的な調整も利益成長が時間の経過とともに株価水準を吸収していく余地は十分にあるとは思われる。現状では短期的なスピード調整も想定しつつ、中長期的な上昇トレンドが維持される可能性は依然高い。

 

イランとの戦闘終結を控え、株価の一段高を期待する向きは多いが、注意すべき点もある。今回、米国の軍事作戦は多くのAIを利用してイランについて多くの情報が調査・分析されたとみられるだけに、終結は旺盛な需要が落ち着くことにもつながる。また6月以後、米国市場ではスペースX、オープンAI、アンソロピックといった企業価値が順に1.75兆ドル、1兆ドル、9,000億ドルとも評価されている大型上場が予定されており、需給悪化懸念にも注意したい。並行する原油相場の高止まりとインフレ圧力の長期化により、日米とも長期金利の上昇傾向は続いており、今後の日本の補正予算による財政拡大と米国の財政赤字拡大、利下げ見送りが懸念されるだけに、長期金利の動きには注意を払いたい。

 

後半も、趨勢はAI・半導体需要の増加とともに株価の上昇は続くと予想されるものの、テールリスクや急激な変動への備えも怠ることのないように心掛けたい。

 

 

(戸谷 慈伸)

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