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今年の株式市場の見通し (2015年1月版)

謹賀新年。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。昨年1月号の同コーナーの冒頭で、「2013年の株式市場は順調な上昇波動であったが、今年も堅調な状況が継続すると予想している」と記述されている。日経平均株価は13年末の16291円31銭が、昨年12月8日には18030円83銭の高値を付けており、上下動を反復しながら、まずは堅調な相場であったと思われる。結論から言えば今年も昨年同様の相場展開になると推察している。

1株当たり利益(EPS)は株価をPER(株価収益率)で割る事により算出されるが、同計算式を応用して、日経平均株価の今期予想ベースのEPS(以下は同様の計算式の数値)を算出する事が可能になる。日経平均株価のEPSは07年10月に「961円」でピーク(同時点)を付けており、その3か月前の7月に同平均株価は18261円で高値を付けている。直近の日経平均株価の予想EPSは「1100円台」(本稿執筆時点、14年12月25日)になっており、現状は07年の同EPSを15%ほど上回る水準だ。

投資家の「期待値」ともいえる予想PERは直近でも16倍前後(日経平均株価対象企業の平均値)と安定して推移している。現状の日本の株式市場はPERという期待値が上昇して株価が上げているのではなく、利益の伸びに応じて株価も上昇しており、一部で懸念する声のある株価のバブル化とは程遠い市場が構築されているといえる。ちなみに米国の代表的な主要平均株価であるS&P500の指数対象企業のPERは、1968年~08年(年末最終週の実績ベース)の平均値で17.6倍になっており、直近のPERも実績値で19倍台、予想ベースは17倍台で推移している。

米国の長期間の実績値や直近のPERの数値と比較しても、現状の日本の株式市場は健全に発展している過程にあると思われる。来期の日本企業の業績は大幅に進行している円安や原油価格の下落、好調を持続している米国経済などの要因から、手堅くみても現状より10%以上は伸びる事が予想される。株価の決定要因は企業利益の伸び率とPERの水準になるが、来期の日経平均株価ベースのEPSの伸び率を10%とし、PERを15~16倍と抑えた数値でみても、今年の日経平均株価の目標値(概算)は18300円から19500円になり、弾みがつけば2万円の大台も視野に入るであろう。

今年の株式市場の大口の買い手としては、日銀券(紙幣)の供給などを行う日本の中央銀行である日本銀行、130兆円を超す公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)があげられる。日銀は昨年10月31日の金融政策決定会合で各種の主要平均株価指数にほぼ連動するETF(上場投資信託)の保有残高を年間約3兆円増加するよう買入れを行うとしている。また、GPIFも同日に基本ポートフォリオの変更を発表しており、国内株式の全体に占める運用比率を従来の12%(乖離許容幅、±6%)から、25%(同、±9%)に拡大するとしている。

今年9月末のGPIFの運用状況から試算した国内株式の買い付け額の余地は、基本ポートフォリオベースで約9兆円になる。このほか、国家公務員・地方公務員の共済組合連合会や私学共済の3共済が、GPIFの国内株式運用比率に追随する事も予想され、その場合、合計の投資余地は12兆円ほどに拡大する事になり、今後の動向が注目される。以上のように今年の日本の株式市場は「投資尺度、企業業績、株式の需給動向」の3点から、良好な状態が継続すると思われる。

今後の波乱要因は、米国の名目GDP(FRB発表、暦年)に対する株式時価総額(国際取引所連合が発表するニューヨーク証券取引所とナスダック市場の合計)の比率が過去の水準と比較して、高すぎる事であろう。91年~13年の年末ベースの同時価総額のGDPに対する比率の平均値は約110%だが、14年10月末の同比率は約148%(概算)になっており、米国の株価にはスピード調整の圧力が掛かりやすくなっている。日本の株式市場にも影響を及ぼす事が予想されるが、日本株の基調は強く、上昇波動は継続すると推察している。

(北川 彰男)

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